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「ゲートウェイ」って何? "高輪ゲートウェイ"について

山手線・49年ぶりの新駅

品川~田端間に開業

「山手線に新駅ができる」ニュースでご覧になった方も多いでしょう。山手線の駅は、現在1971年に開業した西日暮里駅が最新となっているので、49年ぶりに新しい駅が加わることになります。

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山手線の主力車両。現行JRの最新鋭車両となっている。

 

 

斬新?すぎる名前

「高輪ゲートウェイ」は反発を呼んだ

この新駅で話題になったのがその名前。「ゲートウェイ」というカタカナ。地元では反対運動が起き、インターネット上で行われた反対署名は、約4万人に達したそうです。主な反対理由はふたつ。「歴史的な地名を大事にすべき」「語感が悪い(=ダサい)」というものです。

 

一つ目の理由

高輪の地名は、戦国時代からつけられたものです。軍記物語に、「高縄原」として書かれていたことに由来し、「高台にあるまっすぐな道」という意味だそう。それが時代の中で変化し、「高輪」となったとか。鎌倉時代からという説もあるようで、いずれにせよ長い歴史を持つ地名であることは確かなようです。地元の人からしてみたら、長い間親しんできた地名に、わけわからん横文字をつけられ、それを駅名=地域の看板にしようといわれたら、、反対の理由にはなりそうですね。また、「高輪」という歴史ある名前ならば、江戸時代から長く続く町としてアピールできるかもしれないのに、その可能性を潰されるとの意見が、実際に出されています。

二つ目の理由

こちらは同感という方、多いのではないでしょうか。カッコよくはないですよね笑 それが地域の看板になってしまうということを危惧しているようです。また、こういった「キラキラ駅名」が当たり前のようになってしまうことを指摘している専門家もいます。

では何故こんな駅名に?

実はあの駅周辺には再開発の計画があります。この計画の主導はJR東日本。名前は「グローバルゲートウェイ品川」。国際ビジネス交流拠点の整備が目的で、国際ビジネスへの「玄関口」として、この駅名になったと思われます。

 

Gateway」の本来の意味

Cambridge Dictionallyによると、Gatewayの記述には"a place through which you have to go to get to a particullar area"(ある特定のエリアに行くために通らなければいけない場所)とされています。要は「玄関口」という意味ですね。

実際にこの言葉を日本で使っている会社もあります。Disneyです。

   ディズニーゲートウェイステーション = ディズニーへの玄関口

京葉線舞浜駅を降りた乗客は、皆この駅を通過してディズ二ーリゾートの各地へ向かいますね。ディズニーリゾートライン側の舞浜駅京葉線のこっちを「ゲートウェイ」にしたらいいのに。

僕の意見 駅名について

・ホントの「ゲートウェイ」は「品川」では?

JRは高輪ゲートウェイ駅を、駅前のビジネス地区への「ゲートウェイ」として命名したようですが、僕はもっと「ゲートウェイ」に相応しい駅があるような気がしています。それが「品川」東京都心への南の玄関口です。

品川駅。都心をぐるぐる回る山手線に接続し、羽田空港から京急が乗り入れ、東京の南にある川崎や横浜から多くの路線が乗り入れています。さらに、名古屋や大阪といったほかの大都市から新幹線が乗り入れ、この駅から東京に入ります。利用客目線からすれば、「ゲートウェイ」は品川ですし、「都心への玄関口」があるほうがわかりやすいですよね。ただ、日本人の「品川」の認知度は高いので、英語だけ「South Tokyo Gateway」なんていかがでしょうか笑

・「高輪」であれば集客のチャンスが...  本当?

これに関してはちょっと気になったに過ぎないことですが、皆さん、外国人は、何を見たくて日本に来ていると思いますか?訪日ラボが、台湾、タイ、シンガポールアメリカ、ドイツの調査によると、彼らが日本に抱くイメージの圧倒的1位は「Beautiful」でした。また、行きたいところのランキングでは台湾、タイ、シンガポールのアジア圏では奈良公園、河口湖、新宿御苑などの自然的な美しさが上位にランクイン。ドイツ、アメリカの欧米圏では、松本城や姫路城、伏見稲荷など歴史的な美しさがランクインしています。

 

「歴史的な美しさ」... なら高輪も集客できる!

本当でしょうか?ここからは何となく論になってしまうのですが、松本城も姫路城も伏見稲荷も、そこにしかない特徴的な建物の美しさが有名な場所。同じようなところを、僕は高輪では知りません。もちろん、もし人気になれば都心も近いし集客も見込めますが。。

 

「日本の伝統...」で売れば人気になる!はあまりにも甘いのでは。。?

「欧米豪市場においては、観光スポットレベルでの認知が進んでおらず、そもそも日本の観光地名や、その魅力の認知を広めることが課題。」そう訪日ラボはまとめています。「江戸時代から長く続く町としてアピールできる」ようにするのは駅名とは別の課題が山積している気がします。

 

 

新時代への「ゲートウェイ」へ

新技術のテスト駅にも

こちらはあまりニュースでは見なかった情報。12月3日にJRは、新駅の設備概要を発表し、QRコードの読み取りで通過する改札口や、売店には無人決済システムの導入、人工知能技術を使ったロボットによる乗換案内や警備も行うそうです。JR東日本は、これまでも新技術導入に積極的な姿勢をみせているので、僕は期待したいです。(「Suica」方式のIC乗車券やドア上のテレビもかなり早期に導入しています。)

駅名ばかりが注目される新駅にも、きっと何年後かに当たり前になる技術が登場してくることでしょう。個人的には無人決済システムに注目。コンビニの時短問題解決になるかもなんて妄想しています。治安の問題もありそうですが。。

 

最後に

名前だけで食わず嫌いせず、未来に期待したい

山手線の期待の新駅として、様々なことが考察できる高輪ゲートウェイ駅。奇抜な駅名ゆえに批判も多いですが、それだけで食わず嫌いせず、ちょっと深堀りするだけでたくさん面白いことがでてきます。僕個人の意見としては、これからのJR東日本には期待したいなあと考えています。それにしても、やはり「駅名」とか「路線名」って日本では大事なんですね。駅名や路線名を使った案内はイギリス式です。ニューヨーク地下鉄では、「この電車はA線 急行です」みたいな記号を使った案内が普通に行われていますが、山手線で「この電車はJY線です」なんてやったら大炎上でしょうか笑

 

新駅開業は2020年3月。日本の鉄道もこれからますます発展していってほしいです。いつまでも世界一ではないですからね。