鉄道を知ろう・考えよう

「知ってるのに分からない」を楽しむ

考察:直通運転の是非 -なぜ直通運転は増えるのかー

直通運転。皆さんが普段利用している路線はいかがでしょう?いまやかなり多くの人が、「ほにゃほにゃ線直通」と案内された電車に乗って通勤・通学なさっているのでは?(特に東京。)

 

去年11月には、JR埼京線相鉄線の直通運転が開始され、神奈川県内にしか路線を持たない相鉄の車両が念願の都心乗り入れを果たしました。相鉄にはこの先東急線との直通計画もあります。新宿、渋谷~横浜間でライバルのJRと東急に二股をかけています。

 

しかし。その反応は必ずしも歓迎一色ではないようです。これは面白そうな話題だ!

 

という訳で・・・

 

 

 

 

 そもそも:直通運転とは?

複数の路線(または会社)にまたがって列車を運転すること。

f:id:tsugomorigasaki:20200203132433j:plain

地下鉄の駅を発車する東武の車両。その行先は東急線の中央林間。こんな写真が撮れるのはファン的楽しみのひとつ。

 ・東京だと5社6路線が絡み私鉄だと多分一番カオスなメトロ副都心線界隈の直通運転なんかは聴いたことがあるでしょうか。。?比較的最近、東急がこれのために渋谷駅を移設してニュースになりました。

 

他にも図にするのも億劫なJR上野東京ライン湘南新宿ラインらへんの直通運転。6路線が入り乱れ、単なる「快速」だけで数種類の停車駅パターンがあります。

カオス! 超カオス!

 

こりゃ運営する側は大変です。お客さんへの案内はもちろん、

・地下鉄で運転できる車両(詳しくは割愛しますが、地下鉄というのは地上を走る路線の車両より厳しい条件が求められます)を用意しなきゃいけない!

・自社の車両がよその路線へ行ったきり(事故とかで)帰ってこれない!

・路線の規格をよそへ合わせなきゃ!

(実際に京成では、京急と直通するために線路の幅を全部変更させています。いくらかかるんでしょう?)

 

ああ、英語案内もしなきゃ・・・・

・・実際にこれをこなせている会社は少ない....

 

 

そんな苦労をしてまで、なぜ鉄道会社は直通運転をやめないどころか拡大させているんでしょうか?

 

直通運転のメリット=鉄道会社のねらい

端的に言ってしまえば、理由はひとつ。 便利さを提供するためです。が、もう少し砕いてみると面白いことが....?笑

路線の範囲をひろげる(私鉄)

JR私鉄を比べて、私鉄が明らかに劣る点=路線の範囲の広さ。

 

e.g.) 東急東横線とライバルのJR湘南新宿ラインをもつJRは、山手線とその他の路線を介した圧倒的に広い範囲に路線を持っています。事実、湘南新宿ラインは渋谷だけでなく、新宿、池袋にも行ってくれますよね。渋谷~横浜だけの移動なら東急にも対抗できるかもしれませんが、渋谷から新宿へ乗り継ぎたい人はほぼ確実にJRを使います。

 

じゃあ東急も新宿、池袋に路線を伸ばそう!  は無理なんですね。。

 

 理由はいろいろありますが、既に開発されきった場所に路線を引くのは、当然すごいお金がかかります。。そこで、他社(地下鉄)の力を借りるわけですね。

 

・一方の地下鉄側:地下鉄は確かに都心の中にはたくさん路線がありますが、利用者の多くを占める通勤客の足となるためには、それだけでは足りない!そう、郊外への路線ができるだけ安く欲しい。。直通が欲しい!

(ただし、相手が私鉄かJRかは関係ない。事実東西線はJRとも直通運転を行っています。)

⇒ここに、私鉄と地下鉄のねらいが一致しますね!

自社路線のブランド力

そもそも鉄道会社は何で儲けているのでしょうか?ひとつは、鉄道路線から得られる収益。もうひとつは、不動産事業です。

・一般的な私鉄のやり方:①都心のどっかにターミナルを作る ②沿線に住宅地を作る(ここを自社でやる) ③終点は観光地。

 

e.g. 小田急線 ①新宿のでっかいターミナル 小田急は不動産収入が最多 ③江ノ島、箱根

 

つまり、自社路線が便利で使いやすくになれば、それが自社の不動産業にもいい影響を及ぼす。

 

直通運転で色々なところに電車一本で行ける好立地!

をつくることが鉄道会社の狙いの一つです。

 

このことはJRでも一緒。電車の広告で、「ほにゃほにゃ駅まで乗り換えなし!」とかよくあるでしょう?沿線人口が増えれば、会社は儲かります。

 

直通運転のデメリット=反対派?の不満

1.「始発駅だったのに。。」 座れない問題

ずっと出てくる東急東横線の例だと、渋谷駅利用客。それまでは全列車渋谷始発で座れたのに・・ 地下鉄からの大量の客を乗せた状態で滑り込んでくる列車たち・・ 

憂うつになるのも仕方ないでしょう。が、これは一部の利用者だけの問題といってしまえばそれまで。

 

2.毎日遅延

1.で憂うつな思いをした人々による「直通運転やめろ論」制作の手助けっぽくなってる?のかはわかりませんが、確かに路線の範囲が広がることで、それだけ事故や不具合の可能性も高まります。

東急東横線の例:これまでは関係なかった西武線の遅れが影響を及ぼすように。。

実際東急東横線も直通開始後に遅延情報で名前を見る割合が高くなったなあという感じもしますし、JR上野東京ライン開業後100日連続遅延記録もあるとか。。遅延が増える。これは直通運転のデメリットといえるでしょう。1番と違って路線全体の問題です。

 

 

・・・なんかメリットの方が長くなってしまいましたが、説明することが多かったからです。お許しを。

 

結論:直通運転は是か非か

こんなタイトルをつけておいてなんですが、「一概には言えない」が僕の結論です。

 

直通運転が是か非かは、正直人によります。その人がどんな区間を利用するのか、どんな時間帯に電車乗るのか、「座りたい欲」がいかほどか、、、

 

確かなこと:直通運転にはメリットもデメリットもある。やるかやらないかは鉄道会社次第。

 

 

この記事が気に入った方は、ぜひ読者になってください!